葉隠について

まず葉隠とは山本常朝の話したことを田代陣基が読み取り整理し書いた本である。葉隠自体はそれほど知られていないが「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」の一文が有名である。

 

ただ一文だけが有名なので葉隠自体の内容に少し誤解が生じていると思う。

葉隠はもちろん武士の死生観や武士道精神、人を敬い奉公することについていろいろと書かれている。ネットで葉隠を検索すれば大抵のものが「武士」や「武士道」というキーワードが入った、論理観や哲学に関するものが検索の上位にずらっと連なることからもそれは明白である。

重ねて言うが葉隠は武士道、あるいは武士の在り方についてよく書かれている本だ。

 

だがそれだけではない。様々なマナーや経験談等武士道に関わらないこともある。

禁酒について、病に倒れた時の治し方、あくびについて、若い時に苦労をしたほうが後々いいということまで書かれている。そのほかにも様々な武士の前に人としてのマナー・作法がかかれていたり、年上が年下に後々役に立つような経験談が書かれていたりなど武士道に関係ないものが書かれている。

もちろん真面目な内容が多い。佐賀(鍋島)藩の成り立ちや武士道訓・故人の遺訓、逸話や伝説、山本常朝の経験談などから武士の気構え、ちゃんとした人としての立ち振る舞いやマナーを要領よく書かれていて、やはり武士道とはどういったものか、どうあるべきか、武士とは、そのありかたとは、という点について多く触れられていた。

 

ただ伝えたいのは葉隠に関して誤解してほしくないことだ。

「武士道とかを語ったなんか難しそうな本」という印象を持たれては読まれずらいと考える。それだけではなく葉隠が書かれた当時の情景や人の生活、営みが想像しやすくなるようなそんな作品である。葉隠は11冊からなる本であるがその第一と第二はそのような内容が多く含まれているのでそこだけでも読めば多少は印象が変わると考える。

 

このようにタイトルやある一文だけでなく印象だけで語られたりするものも他にあるのかと考え、やはりインターネットで検索するだけでなく実際に触れることが大切だと感じた。